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教員推薦図書: 2021年度:KU Library thinks SDGs 2021

 

副学長(法学部)
大津留 智恵子 教授
副学長(社会安全学部)
高橋 智幸 教授
学長補佐(経済学部)
佐々木 保幸 教授
図書館長(政策創造部)
安武 真隆 教授
経済学部
良永 康平 教授
商学部
岡 照二 教授
政策創造学部
西山 真司 教授
外国語学部
吉田 信介 教授
システム理工学部
淺川 誠 教授
化学生命工学部
池田 勝彦 教授

 

選書リストでは、資料名をクリックすると所蔵詳細画面へリンクします(画面は別ウィンドウで開きます)

副学長(法学部)
大津留 智恵子 教授

南博, 稲場雅紀著
                                                                                       

SDGsの交渉過程の最前線に日本の主席交渉官として加わった南氏と、市民社会の一員として生活の場からMDGsに引き続きSDGs交渉に参加した稲場氏という、異なる立場からの共著により、SDGsの成り立ちが立体的に論じられている。COVID-19は地球が一つであることを否応なく認識させた。本書は、その事実に私たちが自分ごととしていかに建設的に対応していくべきかを考える上で、一つの材料となる。

 

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副学長(社会安全学部)
高橋 智幸 教授

本川達雄著

沖縄の海に潜ると様々な色や形のサンゴに出会える。その周りには驚くほど多くの種類の魚が自由に泳いでおり、サンゴ礁が生物多様性の宝庫であることを実感できる。しかし、地球温暖化に伴う気候変動などにより世界中でサンゴが死滅しつつある。本書ではサンゴの生態から始まり、どのような危機に瀕しているのか、そしてどのように保全していくのかがうまくまとめられている。サンゴとサンゴ礁に関するQ&Aも面白く、理解を深めてくれる。

 

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経済学部教授
佐々木 保幸 学長補佐

ウルリッヒ・ブラント, マークス・ヴィッセン [著]
                             

資本主義に内在する矛盾について、現代における貧困、国際的格差、気候変動、生態系の危機、社会における分断、国際紛争などを引き起こす「帝国型生活様式」という概念で考察し、「人新世」の資本主義社会に警告を発する良書である。

 

工藤律子著
                                                                                                                                                

資本主義のもたらす経済危機や「分断社会」に対して社会的連帯経済、労働者協同組合、企業連合、補完通貨などを通じて目指す「つながりの経済」(社会変革)を平易に語る好著である。

 

ナオミ・クライン著 ; 中野真紀子, 関房江訳

ダボス会議で、グレタ・トューンベリさんが世界の要人に放った「あなた方には、危機に陥った時にする行動をしてほしい。だって、家が燃えているのだから」という痛烈な叫びに対して、資本主義と気候危機の対立を明確にし、本書の原題にもあるグリーン・ニューディールの推進を唱える啓蒙の書でもある。

 

ミヒャエル・エンデ作 ; 大島かおり訳

エンデによる1973年刊行の世界的名著。児童文学であるが、時間やお金を根源から問い直し、ゲゼルの自由貨幣論にも通じ、その後の地域通貨の発展にも大いに示唆を与えた。

 

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図書館長(政策創造学部)
安武 真隆 教授

篠原初枝著

第一次世界大戦の悲劇を繰り返さないため、1920年に史上初の普遍的国際組織として生まれた国際連盟について描いています。その後の国際関係の枠組みはこの時形成され、当初は各国間の紛争解決に貢献した他、国際郵便、難民問題、公衆衛生、文化活動などの面で一定の成果を見ますが、第二次世界大戦を止めることはできませんでした。この成功と失敗の経験から学べることは少なくないでしょう。

 

尾身茂著

Covid-19の対策で知られる尾身茂氏は、WHOアジア地域における小児麻痺(ポリオ)根絶の立役者でもあり、21世紀最初の公衆衛生の危機であったSARS対策では陣頭指揮をとり、日本に戻ってからは新型インフルエンザ対策で活躍しました。

 

ユヴァル・ノア・ハラリ著 ; 柴田裕之訳

SDGsのような問題意識の背景にある現代世界情勢全般の動向を把握できる一冊。『サピエンス全史』の著者が、AI技術や生物工学の発展の結果、人類至上主義が終焉する未来を予言した書として示唆的です。ビッグデータやアルゴリズムを保有する一部の有力者によるデジタル専制主義は、GAFAMを想起させます。

 

ジャック・アタリ著 ; 林昌宏, 坪子理美訳
                             

コロナ禍危機の全体像、その背景と今後への影響について総合的に検討した著作。これまでの社会は、厄災を警戒せず、医療制度を国にとって負担として縮小し、貧富の格差拡大と貧困層を放置する、持続不可能な政治経済状況にあったとします。

 

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経済学部
良永 康平 教授

高橋真樹著
                             

SDGsの一般的な説明だけでなく、特に日本にしぼって、日本のSDGsは本当にこれでいいのかという問題意識から、特に8つの論点に絞って書かれており、大いに参考になる。

 

河口真理子著

SDGsの達成状況を整理し、特にゴール12「持続可能な生産と消費」を実現するために、われわれの生活をどのように変えるべきなのかを検討している。また、「ビジネス」と「金融」の新価値観にも触れている。

 

レスター・R・ブラウン著 ; 佐藤千鶴子 [ほか] 訳

われわれは飲み水の500倍もの水を「食べている」、つまり水は飲むだけでなく、食料生産のためにも必要不可欠なのである。人口増が続くなかでますます水が必要であるにもかかわらず、帯水層は枯渇しつつある。

 

井出留美著
                             

食料危機の現状、原因、歴史に触れながら、食料を確保するにはどうしたら良いのか、私たちができることは何かを説いている。新書で手っ取り早く食の現状を知ることができる良書である。

 

橘川武郎著

人類が全力をあげて取り組むべきことは、省エネと再エネ普及である。本書は再エネを主力電源化するためには、何をなすべきかを明らかにしている。類書が多い中で、最も包括的で、説得的な1冊である。

 

José・川島良彰, 池本幸生, 山下加夏著
                                                                                       

我々がふだん何気なく飲んでいるコーヒーの背後には、どのようなSDGsとも関連する事情が存在しているのか、コーヒー豆の生産地を旅しながら明らかにしてゆく。目を見開かされる1冊である。

 

中嶋亮太著

気候変動・地球温暖化、生物多様性危機と並んで三大環境問題と言われているプラスチック汚染問題、かなり深刻な状況だ。本書は、どうしたら海洋汚染を防ぐことができるかを科学者の立場から解説している。

 

井田徹治著
                             

新型コロナウィルスを含む様々な感染症は、「動物由来感染症(ズーノーシス)」と呼ばれる感染症の1つであり、人間による様々な環境破壊がその感染拡大の根本にあることを明らかにする。

 

ポール・ホーケン編著 ; 東出顕子訳
                             

食料生産・消費、再生可能エネルギー、農業、森林、水素、電気自動車、教育など、地球温暖化を「逆転」させる様々な具体的方法を提示する辞典のような1冊である。見ていて明るい希望が湧いてくる。

 

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商学部
岡 照二 教授

更家悠介著
                             

「自然派のサラヤ」として有名なサラヤ株式会社は、衛生・環境・健康の3つの分野に関連する商品を開発・製造・販売している(皆さんが毎日使用する消毒液も)。一方、サラヤはボルネオでの生物多様性保全活動やウガンダでの手洗いプロジェクトを実施している。本書は、更家悠介代表取締役社長によるこれまでのサラヤのサステナビリティ経営(清流の経営)について書かれており、企業と環境保全活動を考えるためのヒントが数多く記載されている。

 

水口剛著
                                                                                       

現在、ESG投資が注目されている。ESG投資とは環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)も考慮した投資のことをいい、株式市場においてESG投資が拡大することは投資先である企業はより積極的にSDGsに取り組むことになり、社会的課題の解決につながる。本書は、ESG投資研究をリードする水口剛教授が、気候変動・人権問題・経済的不平等とESG投資の関係について、事例・データを使用して詳細に説明がなされており、これからの株式投資に関心がある学生にぜひ読んで頂きたい。

 

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政策創造学部
西山 真司 教授

ジョニー・シーガー著 ; 中澤高志 [ほか] 訳

地図やグラフを用いながら、基本的な人権、暴力、病気、教育、財産、貧困などの項目において、女性が置かれた地位を視覚的に理解させてくれます。ジェンダーというレンズを通して見えてくるこの世界の不平等は、きっとあなた自身の世界に対する考え方を変えてくれるでしょう。

 

加藤秀一著

そもそもジェンダーって何?性的マイノリティとは?と疑問に思った場合には本書がおすすめです。ジェンダー論で出てくる多様な用語について、わかりやすく丁寧に解説してくれます。ジェンダーの問題が私たち自身の日々の実践に深く結びついていることが分かるはずです。

 

一橋大学社会学部佐藤文香ゼミ生一同著

自分たち自身の問題としてジェンダーを考えたいと思うのであれば、本書がおすすめです。ジェンダーにまつわるさまざまなトピックについて、大学生の視点で一緒に考えながら読むことができます。難しい話は苦手という人でも、この本ならばサクサク読み進めることができます。

 

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外国語学部
吉田 信介 教授

SDGs白書編集委員会編
                                                                                       

日本のSDGs研究の第一人者である慶應義塾大学蟹江憲史教授が率いる慶應義塾大学SFC研究所 xSDG・ラボによるトランスディシプリナリーな研究結果が示され、SDGs必読書である。そこでは、新型コロナウイルスの拡大によって、日本・世界はどのように変わったのかについて、17の目標に関連した様々なデータから影響を概観するとともに、オンラインシンポジウム「コロナ禍の先のSDGs」で語られたメッセージが紹介され、よりよい復興に向けたこれからのアクションが語られている。

 

前林清和, 中村浩也編著 ; 木村佐枝子 [ほか] 著
                                                                                       

新型コロナによるカオスのなかから新たなコスモスを生み出すチャンスという発想のもとで、筆者らは、壮大なSDGsの17のゴールをスローガンで終わらせないため、「私」という存在をプライベートな存在であるとともに、オフィシャルな存在であることを自覚する重要性を説いている。
そこでは、SDGsという世界規模の目標を理解し、その実現に向かって社会貢献活動をする意義を論じたうえで、わが国で行われている社会貢献活動の事例からSDGsを考えようとしている必読書である。

 

足立辰雄, 清水正博編著
                                                                                       

SDGsとCSRに取り組む意義と有効性について、「公正,共益,協働,創造,責任」をキーワードとして、次の諸課題の解決策が示されている必読書である:SDGsへの取組は日本人の幸福度を改善するか、石田梅岩の心学による日本型CSRで企業価値を高められるか、日本型CSRをどのように創造するのか、日本の大学生がなぜネパールの子ども達を支援するのか、中小企業にCSR経営の普及啓発をなぜすすめるのか、SDGsやCSRを有効にする社会的支援にはどのようなものがあるか。

 

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システム理工学部
淺川 誠 教授

清田佳美著
                                                                                                                  

水と生命、水の物理、水の循環、水の脅威、水の美しさ、水と文明、水と暮らし、資源としての水。本書が紹介する水の多面的な性質について考えることは、清潔に安全に暮らせる社会を地球上で実現するための基礎になると思います。

 

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化学生命工学部
池田 勝彦 教授

セルジュ・ラトゥーシュ著 ; 中野佳裕訳
                                                                                       

「脱成長」という刺激的な書名で、従来「持続可能な社会」をも「スローガン」と言い放つ心地よさがある。もちろん「持続可能な社会」を構築することは重要であるが、それを「脱成長」を消費社会への依存を減らし、万人が自律的かつ協働的に生活できる社会の在り方としての「節度ある豊かさ」と定義している。さらに、「アート」の重要性まで言及している点は注目すべきであると思う。SDGsを少し違った視点から見直すには非常によい本であると思うがいかがだろうか。

 

エイブラハム・フレクスナー, ロベルト・ダイクラーフ著 ; 野中香方子, 西村美佐子訳
                                                                                       

「役に立たない科学」は研究者が自由な発想と興味で進める「基礎研究」を示しています。SDGsはいろいろな方向にゴールを設定されており、ある意味革新的な研究・開発が必要になると思われます。それを進めるには近視眼的な研究では超えきれないハードルがあることが容易に推察できます。これを乗り越えるのは研究者が自由に思索し、ある意味「アート」ともいえる発想力が重要になってきます。そのような事例を過去から現在までについて簡潔に語り、研究者の自由な発想の重要性が述べられています。研究者・研究者を目指す方々・研究を支援される方々にお薦めします。

 

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