図書館ではコピーできる範囲が決められています。著作権法の下に運用が決められていますので、知らないと、気づかないうちに法律に違反してしまうかもしれません。ここでは、具体的な「複写できる範囲」について、利用シーンごとに詳しく解説します。
・コピー機での複写
著作権法では、図書館で図書館員がコピー機を使って資料をコピーすることが認められています。【著作権法 第31条・図書館等における複製等】
ただし、複写できる範囲がかなり限定されているほか、利用者によるセルフコピーについては、「大学図書館における文献複写に関する実務要項(PDF形式)」(平成15.1.30)に基本的なルールが決められていて、関西大学図書館もそのルールに従ってコピーサービスを行っています。なお、その中の「複写申込」に関する規定により、コピー機で複写する場合には、複写申込書の記入をお願いしております。
・基本指針
1.著作物は全部でなく一部分であること
2.定期刊行物に掲載された各論文その他の記事はその全部であるが,発行後相当の期間を経たもの(次号が既刊となったもの,または発行後3か月を経たもの,等)に限ること。※
3.コピー部数は一人について一部のみであること
4.利用者の調査研究のためであること
5.有償無償を問わず,再複写したり頒布したりしないこと
(「大学図書館における文献複写に関する実務要項(PDF形式)」より)
※2023年の著作権法改正により、全部を複写できる範囲が変わりました。上記要項が改訂され次第、本記述も修正します。
・上記をふまえて、当館内で複写できる範囲は以下の通りです。
複写できる範囲 | 本文の半分まで。 目次についてはその全部 |
「はしがき」や「解説」があればそれぞれその半分まで | |
法律またはガイドライン | 著作権法 第31条第1項・図書館等における複製等 |
もっと詳しく! |
・目次のデザインに創意工夫があるものについては、著作物として保護される場合があります。また、目次ページにイラストや写真がある場合、それらが著作物に該当する場合もあります。 ・翻訳書は、訳者にも著作権がありますので注意が必要です。 ・半分とありますが、著作権法には「一部分」と書かれており、一部分の解釈については「少なくとも半分を超えないものを意味するものと考えられる。」という見解を文化庁が出しています。(第4小委員会(複写複製関係)報告書/図書館等における複写複製、複写複製サービスの条件について) |
複写できる範囲 | それぞれの作品・論文・執筆箇所の半分まで |
法律またはガイドライン | 著作権法 第31条第1項・図書館等における複製等 |
もっと詳しく! | ”共著”の場合は、だれがどの論文を書いたかが明確にわかるものであればそれぞれの論文の半分までと判断しています。 |
複写できる範囲 | 発行後相当期間を経過したもの:一記事全部(ただし複数の論文を複写するときはその号全体の半分まで) |
最新号:各記事の半分以下 | |
法律またはガイドライン | 著作権法施行令 第1条の4第2項・著作物の全部の複製物の提供が著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある著作物 |
もっと詳しく! |
複写できる範囲 | 各作品の半分以下 |
法律またはガイドライン |
国公私立大学図書館協力委員会「複製物の写り込みに関するガイドライン」(PDF形式) |
もっと詳しく! | 1ページ内に収まるほどの短い作品を複写する場合、作品の半分を覆わずに写り込みで対応するというガイドラインが設けられています。 |
複写できる範囲 | 一枚の半分以下、地図帳は各地図の半分以下 |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 国土地理院発行の地図は、全文複写できます。国土地理院のウェブサイトに詳細があり、図書館については「著作権法第31条において、複製の目的が営利性を有せず学術調査・研究の場合に限り、図書館において、1人につき1部、地図一図葉の複製が可能」とあります。 |
複写できる範囲 | 一枚の半分以下 |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 絵画は「美術の著作物」と言われます。芸術性の高い作品については、一部分を切り取って複写する行為は同一性保持権の侵害と判断される恐れもあるので、注意が必要です。 |
複写できる範囲 | 一枚の半分以下 |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 写真は「写真の著作物」と言われます。美術品を撮影した写真の場合、写真の著作権が発生しない場合もありますが、それが創造的な写真であれば「写真の著作物」として扱われる場合もあります。また、F「美術の著作物」と同じように、芸術性の高い作品については、一部分を切り取って複写する行為は同一性保持権の侵害と判断される恐れもあるので、注意が必要です。 |
複写できる範囲 | 各作品の半分以下 |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 楽譜や歌詞は、「音楽の著作物」として扱われます。 |
複写できる範囲 | 資料のもとのかたち(=原本)が、図書であればAB、雑誌であればCとして扱います。 |
法律またはガイドライン | 著作権法 第31条第1項・図書館等における複製等 |
もっと詳しく! | マイクロ化する際、コンテンツの配列や選択に創作性が認められ、全体が編集著作物とみなされる場合は、たとえ原本の著作権が切れていても、全リールの複写はNGとなることがあります。 |
複写できる範囲 | 各データベースの利用規約に従います |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 自宅等のパソコンでプリントアウトする場合にも、利用規約に従ってください。 |
複写できる範囲 | 各提供元の利用規約に従います |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 自宅等のパソコンでプリントアウトする場合にも、利用規約に従ってください。 |
複写できる範囲 | 全文複写できます |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! |
・判例の「解説」部分は著作権があるので、それぞれの論文の半分までです。 ・六法など民間会社が編集発行している法令集は編集著作物として扱われますので、複写できる範囲は全体の半分以下となります。 ・外国の法令集・判例集であっても同じで、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するものは全文複写できます。 |
複写できる範囲 | 全文複写できます。「発行後相当期間」を待つ必要はありません |
法律またはガイドライン | 国公私立大学図書館協力委員会「大学刊行の定期刊行物に関する著作権法第31条第1項第1号の「発行後相当期間」の扱いについて」(PDF形式) |
もっと詳しく! | 学術リポジトリが普及し、研究成果をオンラインで即時公開することが広まってきたことや、紀要は販売物でないため経済的な損失もないとの考え方により、「大学紀要は図書館に受け入れされた段階で、論文の全文が複写可能」というガイドラインがあります。 |
種別 | 新聞・週刊誌・月刊誌 | 季刊・年刊の雑誌など |
「発行後相当期間」とは | 次号発行まで | 発行後3ヵ月間が経過するまで |
ガイドライン |
国公私立大学図書館協力委員会「大学図書館における文献複写に関する実務要項」(PDF形式) |
・ILLで論文のコピーを取り寄せる
ILLで文献複写の申込をするときも、著作権法に従うことが必要です。大学図書館では、著作権法をきちんと守りながらも、調査研究がスムーズに行えるよう、ガイドラインをまとめました。これを、国公私立大学図書館協力委員会の定める「大学図書館間協力における資料複製に関するガイドライン(PDF形式)」(平成21.7.1) といいます。
・基本指針
自館がサービス対象とする大学構成員から所定の申込書によって、他館が所蔵する資料の複製の依頼を受けた大学図書館(以下、「依頼館」という。)は、申込書の記載内容によって著作権法第31 条第1 号の範囲内であること、利用目的が利用者個人の調査研究であること、当該資料を自館が所蔵しないことを確認した上で、利用者の申込みを受理する。
(「大学図書館間協力における資料複製に関するガイドライン(PDF形式)」より)
・上記をふまえて、ILLで文献取り寄せ依頼できる範囲は以下の通りです。
複写できる範囲 | 本文の半分まで。 目次についてはその全部 |
「はしがき」や「解説」があればそれぞれその半分まで | |
法律またはガイドライン | 著作権法 第31条第1項・図書館等における複製等 |
もっと詳しく! |
・目次のデザインに創意工夫があるものについては、著作物として保護される場合があります。また、目次ページにイラストや写真がある場合、それらが著作物に該当する場合もあります。 ・翻訳書は、訳者にも著作権がありますので注意が必要です。 ・半分とありますが、著作権法には「一部分」と書かれており、一部分の解釈については「少なくとも半分を超えないものを意味するものと考えられる。」という見解を文化庁が出しています。(第4小委員会(複写複製関係)報告書/図書館等における複写複製、複写複製サービスの条件について) |
複写できる範囲 | それぞれの作品・論文・執筆箇所の半分まで |
法律またはガイドライン | 著作権法 第31条第1項・図書館等における複製等 |
もっと詳しく! | ”共著”の場合は、だれがどの論文を書いたかが明確にわかるものであればそれぞれの論文の半分までと判断しています。 |
複写できる範囲 | 発行後相当期間を経過したもの:一記事全部(ただし複数の論文を複写するときはその号全体の半分まで) |
最新号:各記事の半分以下 | |
法律またはガイドライン | 著作権法施行令 第1条の4第2項・著作物の全部の複製物の提供が著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある著作物 |
もっと詳しく! |
複写できる範囲 | 各作品の半分以下 |
法律またはガイドライン |
国公私立大学図書館協力委員会「複製物の写り込みに関するガイドライン」(PDF形式) |
もっと詳しく! | 1ページ内に収まるほどの短い作品を複写する場合、作品の半分を覆わずに写り込みで対応するというガイドラインが設けられています。 |
複写できる範囲 | 一枚の半分以下、地図帳は各地図の半分以下 |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 国土地理院発行の地図は、全文複写できます。国土地理院のウェブサイトに詳細があり、図書館については「著作権法第31条において、複製の目的が営利性を有せず学術調査・研究の場合に限り、図書館において、1人につき1部、地図一図葉の複製が可能」とあります。 |
複写できる範囲 | 一枚の半分以下 |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 絵画は「美術の著作物」と言われます。芸術性の高い作品については、一部分を切り取って複写する行為は同一性保持権の侵害と判断される恐れもあるので、注意が必要です。 |
複写できる範囲 | 一枚の半分以下 |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 写真は「写真の著作物」と言われます。美術品を撮影した写真の場合、写真の著作権が発生しない場合もありますが、それが創造的な写真であれば「写真の著作物」として扱われる場合もあります。また、F「美術の著作物」と同じように、芸術性の高い作品については、一部分を切り取って複写する行為は同一性保持権の侵害と判断される恐れもあるので、注意が必要です。 |
複写できる範囲 | 各作品の半分以下 |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 楽譜や歌詞は、「音楽の著作物」として扱われます。 |
複写できる範囲 | 資料のもとのかたち(=原本)が、図書であればAB、雑誌であればCとして扱います。 |
法律またはガイドライン | 著作権法 第31条第1項・図書館等における複製等 |
もっと詳しく! | マイクロ化する際、コンテンツの配列や選択に創作性が認められ、全体が編集著作物とみなされる場合は、たとえ原本の著作権が切れていても、全リールの複写はNGとなることがあります。 |
複写できる範囲 | 各大学とデータベース各社との契約に従います |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 契約次第なので、複写できない場合もあります。 |
複写できる範囲 | 各大学と提供元各社との契約に従います |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! | 契約次第なので、複写できない場合もあります。 |
複写できる範囲 | 全文複写できます |
法律またはガイドライン | |
もっと詳しく! |
・判例の「解説」部分は著作権があるので、それぞれの論文の半分までです。 ・六法など民間会社が編集発行している法令集は編集著作物として扱われますので、複写できる範囲は全体の半分以下となります。 ・外国の法令集・判例集であっても同じで、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するものは全文複写できます。 |
複写できる範囲 | 全文複写できます。「発行後相当期間」を待つ必要はありません |
法律またはガイドライン | 国公私立大学図書館協力委員会「大学刊行の定期刊行物に関する著作権法第31条第1項第1号の「発行後相当期間」の扱いについて」(PDF形式) |
もっと詳しく! | 学術リポジトリが普及し、研究成果をオンラインで即時公開することが広まってきたことや、紀要は販売物でないため経済的な損失もないとの考え方により、「大学紀要は図書館に受け入れされた段階で、論文の全文が複写可能」というガイドラインがあります。 |
種別 | 新聞・週刊誌・月刊誌 | 季刊・年刊の雑誌など |
「発行後相当期間」とは | 次号発行まで | 発行後3ヵ月間が経過するまで |
ガイドライン |
国公私立大学図書館協力委員会「大学図書館における文献複写に関する実務要項」(PDF形式) |
・他大学から取り寄せた本を複写する
著作権法を順守し、かつ、相手館が定める規定に必ず従います。
基本的にはセルフコピーの場合と同じ運用です。まれに、図書館員による複写(代行複写)を求められたり、複写報告書の提出を求められたりすることがあります。
・ガイドライン
実は、他大学から取り寄せた資料は、著作権法第31条の"複写できる"ケースにあてはまりません。そこで、図書館間ではガイドラインを作成して、ルールを決めています。引用すると、「利用者が求める複製物が著作権法第31条第1号の範囲内であることを確認出来たときに、その求めを受け付ける。」としており、コピーをするときには、やはり著作権法の順守が求められています。
「図書館間協力における現物貸借で借り受けた図書の複製に関するガイドライン(PDF形式)」(平成18.1.1)
Topic 1: 他大学からのILL依頼 | Topic 2: 全ページ複写 | |
関西大学では、他大学からの依頼に対して、このように取り決めております。
・著作権法に必ず従う ・基本運用は「大学図書館間協力における資料複製に関するガイドライン(PDF形式)」(平成21.7.1)に従う ・具体的な範囲は、国立国会図書館のルールを参照する ・判断に迷う事例は「大学図書館における著作権問題Q&A(PDF形式)」を参照する
ただし、例外があります。 全ページ複写については Topic2 へ ⇒ ⇒ |
著作権の保護期間が満了している図書の全ページ複写は、できるときとできないときがあります。
・できるとき: 申請書等の手続きを取れば可 所蔵館に規定なく可 ・できないとき: 所蔵館の利用規定により全ページ複写は不可
→ 関西大学図書館の場合 ・一般資料:全ページ複写不可 ・貴重書・準貴重書:資料の破損の恐れがないものに限り全ページ複写可
ILLで取り寄せする資料の全ページ複写を希望する場合、レファレンスカウンターまたは各キャンパス図書館でご相談ください。 |
Topic 3: NDLの「デジタルコレクション」は? |
国立国会図書館デジタルコレクション は、国会図書館がデジタル化した資料をインターネット上で閲覧できるシステムです。
「ログインなしで閲覧可能」の資料は、必要な範囲を自分で印刷することができます。利用にあたっては国立国会図書館デジタルコレクションのサイトで確認してください。 「送信サービスで閲覧可能」の資料は下記の2つの手段で利用が可能です。 ①「図書館向けデジタル化資料送信サービス」 ②「個人向けデジタル化資料送信サービス」 |
Topic 4: 絶対に複写ダメ? |
保護期間内の資料の全ページ複写や、図書の1論文全体の複写など、著作権法で制限されている複写は、何が何でも絶対にダメ、というわけではありません。著作権者にOKをもらえば、問題は無いのです。とはいえ、ただの口約束では証拠を示すことができないので、国立国会図書館では手続き方法を公開しています。また、著作権者が誰なのか分からない場合は、文化庁の定める手続きに従い"著作権者を探す努力"などを行います。
・国立国会図書館 ・文化庁
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