2021/1/20 UP
あけましておめでとうございます。ILL係です。
日々、いろんな論文や作品をコピーしていますが、
実物を見て初めて気づくことがあります。
先日、とある作品の複写依頼を受けました。
太宰治の富嶽百景です。
今も高校の国語教科書に収録されている名作ですね。
授業で習った覚えがある人も多いのではないでしょうか。
この作品が初めて掲載された文體という雑誌を複写してほしい、という依頼を受けました。
早速、書庫に資料を探しに行き、実際に文献が掲載されているか確認します。
ページを開いてみると、こんなことが書かれていました。
文末に「未完」と書かれています。
どういうことでしょう? まさか富嶽百景は未完の作品だったのでしょうか。
試しに次の巻号を開いてみると、
タイトルに「續*富嶽百景」と書かれています。(*続の旧字体)
今度は続編? というわけではありません。
実は富嶽百景は二回に分かれて掲載されていました。
よく見ると「續」と「富嶽百景」の間に小さく読点が打たれています。
「續富嶽百景」ではなく、「富嶽百景」の「續」ということです。
初めはこのような形で発表されていたんですね。
慣れ親しんだ作品であっても、
実物を見たら新たな発見があるかもしれません。
図書館で実物に触れてみるのはいかがでしょう。〔E〕
◆書誌詳細
文體
創刊號(昭13.11)-. -- スタイル社.
◇書庫の利用方法はこちら
「書庫に入るにはどうしたらいい?」
https://kansai-u.libguides.com/c.php?g=753401&p=5396987#s-lg-box-wrapper-20047639