2023/7/3 UP
こんにちは、夏の暑さの中汗ばみながらコピーをしているILL係です。
最近、同じ論文の複写依頼が立て続けにありました。
依頼が多い人気の論文はいくつかありますが、短期間に連続して依頼があるのは珍しいです。
依頼があったのはこちらの論文です。↓
関西大学国文學会が発行している紀要『國文學』に掲載された論文です。
論文が掲載されている巻号の発行は1950年、今から70年近くも前ですね。
なぜこの論文に続けて依頼がきたのでしょう?
『男色大鑑』は江戸時代の著名な浮世草子作者、井原西鶴の作品です。
「男色」とは男性同士の同性愛を指す言葉で、この作品では男色をテーマにした作品が40話収録されています。
今でいうところのボーイズラブ短編集みたいですね。1
そしてこの「男色大鑑」をキーワードに、CiNiiで調べてみたところ……
一番古い論文が「『男色大鑑』の研究」でした。
複写依頼をした方は、CiNiiで調べてこちらを見つけたのかもしれません。
ボーイズラブは注目を集めているジャンルですから、
そのつながりで『男色大鑑』を調べているのかも……
と、勝手に想像してしまいました。
そろそろ期末レポートの時期ですので、
興味がある方はこちらの論文から『男色大鑑』を調べてみるのはいかがでしょうか。
図書館には『男色大鑑』の現代語訳もありますので、どうぞご利用ください。〔E〕
◇論文が掲載されている雑誌はこちら
國文學
関西大学国文學会. -- 1號 (昭25.5)-. -- 関西大学国文學会, 1950.
◇『男色大鑑』の現代語訳
男色大鑑
井原西鶴 [著] ; 麻生磯次, 冨士昭雄訳注. -- 明治書院, 1979. -- (対訳西鶴全集 / 井原西鶴 [著] ; 麻生磯次, 冨士昭雄訳注 ; 6)
男色大鑑
井原西鶴[著] ; 暉峻康隆訳・注. -- 小学館, 1976. -- (西鶴全集 : 現代語訳 / 井原西鶴[著] ; 暉峻康隆訳・注 ; 3)
注
1. 一方で、男色は単なる恋愛関係でなかったり、
江戸時代にそこまで珍しいものでもなかったりと、
ボーイズラブと異なる点もあります。
参考文献:森耕一「男色」、江本裕・谷脇理史編『西鶴事典』おうふう、1996、p.495-499参照。
https://www.lib.kansai-u.ac.jp/webopac/BB38049866
また、『男色大鑑』のコミカライズを通して、
古典作品をいかに読み継いでいくかを模索した書籍として、
畑中千晶著『これからの古典の伝え方 : 西鶴「男色大鑑」から考える』 があります。