2022/8/31 UP
毎日蒸し暑いですね、ILL係です。
今回は、こんな資料の紹介です。
紙面上に、色のついたシミのようなものが、見えますでしょうか。
近づいて見てみると……
書入れや模様ではなく、ちぎった紙が貼り付けられています。
文字を隠すように貼り付けられているものが多く、今にもはがれそうなものもあります。
複写する時の扱い方が分からなかったため、いろいろ調べたところ、
(今回はあまりにも手がかりがなく、インターネットで
”紙が貼り付いている 古典籍”などと検索しました。司書でも近頃はググります。)
どうやらこの紙、
不審紙(ふしんがみ)、付け紙とよばれる、昔の付箋でした。
読み手が疑問に思った部分や、後から書写したい部分などに貼り付けていたそうです。
この資料のさらに珍しいところは、こちら。
ちぎられる前の不審紙が残っていることです。
元のサイズは不明ですが、少しずつ小さくちぎり取られた痕跡に、
旧所蔵者の勉学への情熱が伝わってくるようです。
さて、せっかく名称が分かったので、
不審紙についてさらに調べようと、
レファレンスフロアにある「日本大百科全書」 を見に行ってみました。
不審紙(ふしんがみ)
書物の疑問の箇所や、写し取りたい箇所に、目印のためにかりに貼っておく紅や青などの小紙片。[中略]ちぎって唾で貼れば便利で、解決後はがしやすいためであろう。「つけがみ」ともいい、附紙、紙簽、紙貼などの字をあてる。(「日本大百科全書」20: ふ-へか, p.315, 木村八重子)
どうやら、裏面に塗られた糊に唾を付けて貼っていたようで、
現在であれば完全なNG行為に、少しテンションの下がるILL係でした。
とはいえ、なかなかお目にかかれないレアな付箋。
もし皆さんが見つけた時は、はがさずそっとページをめくってください。〔S〕
◆所蔵詳細
巖居稿 6巻
釋道澄月潭著 ; 卷第1-2 - 卷第6. -- 古川參郎兵衞, 1704
日本大百科全書
1 - 26. -- 小学館, 1984
◇不審紙についての詳細は、データベース「ジャパンナレッジ」でも確認できます。
アクセス方法と詳細はこちらのデータベースポータルから
https://opac.lib.kansai-u.ac.jp/multidatabases/multidatabase_contents/detail/786/ccd802552f34c15bd738440d747caab9?frame_id=366
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